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能力不足の従業員を退職させる際に注意する3つのポイント②-不当解雇の訴えに負けない会社を作る

前回、不当解雇の訴えに負けない会社を作る一番大事なポイントは「退職願をとりつけること」ですとお話ししました。



 しかし、「退職願」を必ずもらえるとは限りません。従業員が「退職願」にはんこを押してくれないときは、解雇するほかありません。

 

 その場合にどういう点に気をつける必要があるでしょうか。



 どうしても解雇せざるを得ない場合、「能力不足について証拠を残す」ということが重要なポイントになります。



 経営者の中には従業員の自律性を尊重し、従業員も社会人なのだから、自分の職務能力については自己研鑽するべきだというお考えの方もおられると思います。

 

 しかし、裁判所はそのような考え方はしません。裁判所は従業員の教育、指導は会社の責任だと考えています。そして、解雇する前に会社は従業員の教育、指導を十分にするべきであり、それをしないで会社が従業員を解雇した場合は会社が悪いんだという考えます。



 実際の裁判では、不当解雇を主張する元従業員は、会社の教育、指導が足りなかったと主張します。これに対し、会社側から、十分な教育・指導をしていことの証拠を提出できなければ裁判に負けてしまうのです。



 ですから、解雇を検討する段階では能力不足について証拠が残っているかどうかが非常に重要なポイントになります。



 では、どのような証拠を集めておけばいいのでしょうか?



 能力不足の社員とは定期的に面談の機会をもち、その指導内容について記録をとることが必要です。

 

 能力不足の社員には、まず、能力が足りていないという会社の評価を率直に伝えることが必要です。

 その上で、どのような能力が足りていないかを具体的にわかりやすく説明し、どのような改善方法があるかを会社が社員と一緒に考え、指導します。

 指導内容の客観性を保つため、指導は上司1人ではなく、複数でするのがいいでしょう。

 そしてこれを記録に残します。

 指導したにもかかわらず、同じ間違いが続く場合はその原因について話し、同じ間違いを繰り返さないようにするにはどうすればよいか指導していきましょう。

 営業成績が悪いという場合は、営業成績がいい従業員がどのような営業方法をしているのかを会社から教えて、それを参考に今後どういう営業方法をとっていくべきか指導していきます。お客様からのクレームが多い場合は、その内容を従業員に伝え、改善策を指導します。



 このような指導とともに、会社が指導してきたことを証拠として残し、指導の効果が十分でなく能力不足が解消できない場合に、ようやく解雇を検討することになるのです。



 裁判所は従業員が問題点を十分に認識しないまま、突然解雇されたというような印象がある場合、会社を非難します。

 そこで、従業員に問題点を率直に伝え、このままでは雇用の維持が難しいということを従業員に認識させ、その上で、会社として一生懸命指導したけれども改善できなかったという状況を裁判所に説明できるように、証拠として残しておくことが必要になるのです。
コラムニストプロフィール
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西川 暢春(にしかわ のぶはる)
弁護士法人咲くやこの花法律事務所

当事務所は大阪本町に所在し、主に企業経営者向けの法律サービスを業務としています。
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