総合
お金を使わないと、お金が貯まらない?

 財務体質改善の目的は、企業が永続的に成長・発展するために必要な資金を安定的に供給することです。

 当然、その中では経費の見直しも行わないといけませんし、削るべき経費は削らないといけないかもしれません。

 ですが、一方で「1円たりとも無駄使いをしたくない」との思いから、少額の有料サービスや物品を購入することにも躊躇している経営者や経理担当者がいらっっしゃいます。

 気持ちは理解できますが、これでは会社としても何の前進もありません。

 お金を使わないことで避けられるリスクもあります。経費を抑えることで、結果としてその決算期での利益は出やすくなるかもしれません。しかし、同時にお金を使わないことで、新たな機会損失を招いてる(チャンスを逃している)ということもできます。

・経費を使いたくない一心で、得意先や取引先との会食を行わなくなった。
→新規案件の受注件数の減少や、取引先からの紹介件数の減少。

・経費を使いたくない一心で、得意先へのルートセールス回数を減らした。
→既存の得意先からの売上の積み増し案件が少なくなり、結果として売上増大のチャンスを逃した。

・経費を使いたくない一心で、営業スタッフの雇用人数を減らした。
→経費を削ったことで今期の利益は確保できたが、来期以降への営業不足につながる

 このように、ただ単純に経費は削るもの、1円でも無駄な支払いは行わないこと、と最初から決めつけることにより、かえって企業活動が制約され、結果として長期的な成長・発展が望めない可能性が出てきます。

 中小企業の場合、大手上場企業と異なり、資本面でも資金繰りの面でも多分に制約があるのは事実です。

 ですが、その一方で、自社の強み(ストロングポイント)を見出し、そのポイントに対して重点的に経営資源(人、モノ、カネ、情報)を割り当ててスピーディーに経営できる点も中小企業の特徴ともいえます。

 皆さんの会社でも経費の見直しや削減に日々努めておられるかと思いますが、少し目線を変えて、長期的に見て自社が健全に成長・発展できるお金の使い方や貯め方になっているかを定期的に検証してみてはいかがでしょうか。


キャッシュフローの専門家 森岡 寛 著書
社長のための黒字の教科書」(ダイヤモンド社)
マンガで入門!会社の数字が面白いほどわかる本」(ダイヤモンド社)
コラムニストプロフィール
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森岡 寛(もりおか ひろし)
株式会社M's FACTORY(エムズファクトリー)
大阪・神戸を中心に中小企業向けの財務コンサルティング業務を実施しています。
具体的業務としては、①経理業務の改善アドバイス、②月次財務報告書の提供・報告、③金融機関からの資金調達・返済相談、④資金繰り改善アドバイス、⑤予算設定・管理、⑥管理会計導入、などが挙げられます。また、現在は訪問財務コンサル(関西圏対象)と、ITツールを活用したWEB財務コンサル(全国の中小企業が対象)の2つのサービスを展開しています。