総合
正しい期間で業績を確認する

初めて打ち合わせをさせて頂く経営者の方と、月次残高試算表を見ながら
お話をしていると、「う~ん、売上も利益も自分の感覚と違うんですよね~。。」
という会話によくなります。

その原因を経理担当者の方に確認してみると、
①会計期間は末日〆だが、売上も仕入も20日〆のため、仕訳は請求書の〆日を
基準に処理している

②アルバイトが多いが、人件費は15日〆末払いのため、こちらも支給日に経費を
計上しており、会計期間と異なる

③通常月の経理処理は、全て現預金で処理していて、決算時に未払金や買掛金の
計上を行っている

④決算間際に節税対策で入った保険料や、地代家賃の前払い、減価償却費の計上を
行うので、決算月は大幅に赤字になる

といった点が主な原因として挙がってきます。
しかしながら、今まで請求書や給与などで利用してきた〆日を急に変更するのは
難しい面も多いですし、会計期間を変更したところで、今度は経営者がデータを
見づらくなってしまいます。

そこで、解決策として考えられるのが、
①会計期間に合った仕訳計上の仕方

②年間経費は月額経費に換算する

という2点の考え方です。

①の場合、仮に経理処理は20日〆で行っている業務については、
1日~20日で仕訳処理、及び21日~末日で同様に仕訳処理を行うことで、
売掛金や買掛金・未払金などの貸借対照表の残高管理も行いつつ、
一ヶ月間の正確な数字の計上が可能になります。

また、②については、年間で支払う大きな経費を1か月に換算して
経費計上を行います。例えば、年間240万円の減価償却費であれば
月額20万円ずつ計上する、という感じです。

この方法をとることで、経営者が求める1カ月単位での会社全体の
業績管理が可能になりますし、決算時の数字の予測も行いやすくなります。

皆さんの会社では、どのような経理ルールで数字の管理をしておられます
でしょうか?
今一度、自社の経理ルールを確認して、経営者が正しい経営判断が行える
データ管理を心掛けましょう。

総合
正しい予算の立て方

皆さんはどのように予算を作っておられますか?

そもそも、予算とは何なんでしょうか?

私自身は、予算設定とは、
①社内全体の売上目標・利益目標を明確にするため
②目標数字を明確にすることで、目標達成に向けての各部門・各人の行動計画を明確にするため
③実績と予算(見込み予測)を合算して、決算の業績予測を簡易に行うため
④予算の達成状況に応じた人事考課に活用するため

といった意味・目的があるものと位置付けられています。

では、実際に予算をどのように組めばいいのか?

多くの会社では、これまでの実績を見ながら、経営者が感覚値で
「売上目標○億円!」「昨年度対比10%の増収!」といった方が
わかりやすくはありますが、勘と経験、直感に基づいたこのような
目標設定方法は、実は大きなリスクを2つ伴っています。


1つ目が「資金繰り面を考慮しきれていない」ということです。
中小企業の多くが、借入返済資金や運転資金が必要なビジネスを展開しています。
また、設備投資を行う中小企業も多く存在します。


これらは、直接的には損益計算書に関係ありませんが、資金繰りから考えると
支出項目となっており、これらの支出を賄えるだけのお金が必要となってきます。
しかもこれらのお金は、新たに資金を調達するか、会社が出す利益の中からでしか
捻出できません。

新たに資金を調達するといっても、追加で借入を行うと、更に返済額や支払利息が
増えますし、増資を行うという選択肢も頻繁に利用できるわけではありませんので、
結果として「会社で出す利益で賄う」という結論に至ります。

なので、会社としては経費にならない支出が年間でどれだけ発生するのかを把握し、
減価償却費などのお金が出ていかない経費と相殺した後、その金額を税引後利益で
賄える予算組にしなければなりません。


2つ目が「どれぐらい経費がかかるかを予測しきれていない」ということです。

これは、経営者が経費に対する感覚を希望的観測で捉える傾向がある点が問題です。

経営者は「そんなに経費はかからないだろう」と思って経費の予算を立てられる
ことが多いのですが、実際にふたを開けてみると、当初は予想していなかった経費が
出ることが多分にあります。

ですので、経費の予算を立てる際は、会社の事業計画(採用・研修や広告宣伝、
福利厚生等のイベント)と連動した経費計画を立てつつ、若干余裕をもった
経費計画を立てることをお勧めしています。


このように、1つ目の項目で資金繰りを考慮した税引前利益目標を立てて、
2つ目の項目で経費計画を立てると、おのずと必要な売上額が把握できます。

ここで出てきた数字が、自社が目指すべき売上目標となります。
仮にこの目標値よりも、売上金額・利益金額ともに、まだまだ上方修正できる
というのであれば、新たに発生する経費内容を確認した後に、売上目標・利益目標を
上方修正して頂いても構いません。

大切なのは、直感で売上目標を決めるのではなく、根拠のある数字で売上目標を
導き出すことです。

9月決算の会社は今日から新しい事業年度が始まりますし、3月決算の
会社は下半期がスタートする日となりますので、これを機会に自社の予算の
立て方を検証してみて下さい。

総合
その借入、必要ですか?

M's FACTORYが手掛ける財務コンサルティング業務の中の一つに、
「金融機関からの借入内容を見直す」という仕事があります。

一般的に「借入を見直す」と聞くと、複数の金融機関から、
より金利の低い条件で融資を引き出すというイメージが先行しがちです。
それ自体も間違いではありませんが、大切なのは、「借入の目的を確認し、
その目的に見合った金額の借入を実施しているかどうか」です。

①借入の目的を確認する
まず、中小企業が金融機関から借入を行う際に、そもそもどういう目的で
借入が必要なのかを考えなければなりません。
代表的な理由としては「運転資金」と「設備資金」が挙げられます。

設備資金は、会社が購入する固定資産に見合う借入ですので、ここでは
説明を割愛します。

一方、運転資金とは、自社の商取引の入金サイトと支払サイトで生じる
不足のお金をカバーするために必要な資金のことです。
金額が把握しづらい場合は、「売上債権+棚卸資産-仕入債務」の数字を
残高試算表や決算書の残高から抽出して簡易計算します。

・売上債権…売掛金、受取手形
・棚卸資産…商品、原材料など
・仕入債務…買掛金、支払手形

※但し、売上債権の中に長期滞留債権(ながらく回収できていない売掛金)の
ような債権が残っていたり、棚卸資産の中にデッドストック(売れ残り商品で
長らく動いていない死筋在庫)があったりすると、正確な運転資金の
金額が算出しづらい場合がありますので、注意が必要です。


このような基準で検討した結果、自社に運転資金、設備資金を調達する
必要があるかどうかを判断しなければなりません。
この時点で、借入をする必要がない場合は、別の理由で資金繰りが
しんどくなっているということになりますので、その原因を
探ることが先決になります。


②いくらの資金が必要か?
上記①で借入の目的が明確な場合、今度は借入を希望するにあたって
適正な借入金額を算出しなければなりません。
ここでいう「適正」とは、①で記載した必要な資金額であったり、
後述します③の返済スケジュール、既存の借入とのバランスを見て
決定することをお勧めしています。

また借入希望額については、金融機関の担当者側も営業ノルマがあるので、
特に根拠もなく、多めの数字を依頼してくる場合がありますが、
これに応じると無駄な利息を払うことになりますので、あくまで
自社が必要な金額のみを調達希望することをお勧めします。


③借りた資金は返済できるのか?
これが、最も大切ですね。
要するに、借りたものの借金をちゃんと返済できるのか?という点です。
中小企業の経営者の中には、「○億円、銀行から引っ張った!」と豪語
しておられる経営者がいらっしゃいます。それもそれで金融機関から信用を
もらっておられるわけですから、素晴らしいとは思いますが、
大切なのは、その借入を返済できたのかどうかです。

ここで重要なのが、毎月の元金返済の金額がいくらになっているかを
確認することです。

会計処理では、借入の利息は経費として処理できますが、借入の元金に
ついては、経費として認識されないので、会社としては利益を出して、
税金を払った後のお金で返済しないといけなくなります。

この返済する元金の金額が、会社が今後出していく税引後利益の金額の
範囲内かどうか、これも検討しておかなければなりません。

④金融機関の借入バランスを考える
①②③のステップを踏んで借入すべき金額内容が明確になったとしても、
最後に注意しないといけないのが借入バランスです。

これは、調達すべき金額が少額の場合、特定の金融機関1行のみと
取引するのも構いませんが、年商規模が増大してくると、複数の
金融機関との取引が必要になります。

特に、過去の実績や現在の借入残高からメイン銀行やサブ銀行の
位置づけが明確な場合は、この借入バランスを意識した資金調達が
求められますので、安易に特定の金融機関に借入を打診しないように
注意してください。



以上が、借入を実施する際に基本的に注意すべき項目です。
この他にも金利についてや、担保・保証内容についての検証など、
借入の際に気を付けるべきことはありますが、これについては
別の機会にお伝えさせて頂きます。

皆さんの会社でも、借入を行う際、また見直す際は、上記の内容で
自社の借入状況が適正かどうか、一度検証してみてください。

プロフィール
森岡 寛 プロフィール

20100804-ms_morioka_img.jpg

森岡 寛(もりおか ひろし)
株式会社M's FACTORY(エムズファクトリー)
大阪・神戸を中心に中小企業向けの財務コンサルティング業務を実施しています。
具体的業務としては、①経理業務の改善アドバイス、②月次財務報告書の提供・報告、③金融機関からの資金調達・返済相談、④資金繰り改善アドバイス、⑤予算設定・管理、⑥管理会計導入、などが挙げられます。また、現在は訪問財務コンサル(関西圏対象)と、ITツールを活用したWEB財務コンサル(全国の中小企業が対象)の2つのサービスを展開しています。

» 続きを読む